日本の根管治療の成功率は、高く見積もっても50%程度です。
これに対して、実は欧米では90%を超える成功率があります。世界的には根管治療の成功率を上げる治療法や器具は開発されているのですが、日本の場合は保険診療の制約で、欧米で当たり前のように使われている技術や器具を使うことができず、大きな差をつけられてしまいました。
当院では、ペンシルベニア大学の技術・コンセプトに基づき、これらの技術や器具を積極的に取り入れ、「米国式」根管治療を提供することで、90%以上の高い成功率を達成しています。
「米国式」根管治療には、次のような特長があります。
- 「高倍率ルーペ」で狭い根管を確認
- 「CT」で複雑な根管を可視化
- 「ラバーダム」で再感染防止
- 「ニッケルチタンファイル」で感染部位の除去
- 「Er-YAGレーザー」で殺菌
- 「EDTA」「次亜塩素酸ナトリウム」で殺菌洗浄
- 「殺菌水(パーフェクトペリオ)」で無菌化
- 「MTAセメント」で根管充てん
以下で、成功率を高める当院の根管治療を詳しくご説明します。
1.「高倍率ルーペ」で狭い根管を確認
上の4枚の写真はすべて歯の写真です。歯の中央に黒く見える「根管」部分はどれも複雑な形をしています。細いところは直径1mmもない部分も多く、狭くて複雑な根管から細菌を取り除くのがとても大変な作業だとわかります。
そこで役立つのが、「高倍率ルーペ」です。患部を肉眼よりも何倍にも拡大して見ることができ、狭くて複雑な根管から感染部位を除去することができます。
2.「CT」で複雑な根管を可視化
根管は歯の中にあるため、肉眼で確認することはできません。そのため、根管の形状を把握するには、X線を用いた検査が必要です。一般的にX線検査では「レントゲン」が用いられますが、当院では「CT」を使用しています。レントゲンは2次元の画像を提供するのに対し、CTはお口の周囲を回転して撮影することで、立体的で鮮明な画像を得ることができます。
次の画像は、同じ部位をCTとレントゲンで撮影したものです。
左の写真がCTで、右の画像がレントゲンで撮影したものです。
赤丸で囲んだ部分に黒い影が見えます。ここには炎症が起こっているのですが、右の写真には影がありません。
つまり、レントゲン写真だけで診断すると、この炎症は見逃されてしまう可能性が高いということです。気がつかない間に炎症は悪化してしまい、抜歯するという結果になったかもしれません。当院は、このような事態を防ぐために、CTによる診断を徹底しています。
3.「ラバーダム」で再感染防止
根管の炎症は、虫歯菌によって引き起こされます。
そのため、根管の中を無菌状態に保つことが治療の成功において極めて重要です。特に注意が必要なのは、唾液の浸入です。唾液には多くの細菌が含まれており、根管内をいくらしっかりと殺菌消毒しても、ほんの少しでも唾液が入ってしまうと、炎症の再発につながってしまいます。
そのため、当院では「ラバーダム」という器具を使います。ラバーダムはゴム製のシートです。治療する歯だけを残し、お口全体を覆うことができます。これにより、唾液を完全にシャットアウトし、無菌状態を保った状態で治療が可能です。
ラバーダム利用の有無が、根管治療の成功率を分けます。米国ではラバーダムをせずに根管治療を行うと、歯科医師免許が取り消されます。それほど重要な治療器具なのですが、日本国内ではほとんど利用されていません。
当院では、ラバーダムを必ず使用して根管治療を行います。
4.「ニッケルチタンファイル」で感染部位の除去
感染した神経組織を取り除く際には、「ファイル」というヤスリのような器具を使用します。
一般的な歯科医院ではステンレス製のファイルが使われることが多いですが、ステンレス製は硬いため、根管の複雑な形状にうまく対応できず、神経組織を適切に削り取れない場合があります。
これに対して、「米国式」では「ニッケルチタン」製のファイルを使用します。
ニッケルチタンファイルは柔軟性があり、根管の複雑な形に沿ってしっかりとフィットし、感染部位を効果的に取り除くことができます。
5.「Er-YAGレーザー」で殺菌
当院では、歯科用レーザー装置(Er-YAGレーザー)を治療に積極的に活用しています。
レーザーの光には、強い殺菌効果があります。根管の中をレーザーで照射することで、より効果的に患部を殺菌することができます。結果的に根管治療の成功率が高まります。また、レーザーの光には歯質を強化する効果もあり、予後が良好になるメリットもあります。
6.「EDTA」「次亜塩素酸ナトリウム」で殺菌洗浄
感染部位を除去した後、根管内には細かい削りカスが散らばった状態になります。これらの削りカスにも細菌が付着しています。すべてを取り除くのはとても難しく、削りカスを残したまま治療を終えてしまう歯科医院もあります。実はこれも根管治療の成功率が低い一因になっています。
当院では、「EDTA」「次亜塩素酸ナトリウム」といった、殺菌力の高い薬剤を用い、根管内を洗浄します。削りカスを溶かして洗い流し、根管内を無菌にすることで、治療の成功率が向上します。
7.「殺菌水(パーフェクトペリオ)」で無菌化
当院では、治療時にもパーフェクトペリオという「殺菌水」を使用しています。
この殺菌水を根管内に満たして治療することで無菌化します。従来の生理食塩水と比較して飛躍的な治療成功率を得ています。
8.「MTAセメント」で根管充てん
根管内の殺菌洗浄を行った後は、空洞になった内部に「充てん剤」を詰めます。当院では、「MTAセメント」という高品質な充てん剤を使用しています。
MTAセメントは、以下のような特徴を持っています。
✅密閉性が高く、細菌が入り込むすき間を作らない
✅強い殺菌力で、患部のむし歯菌を退治
✅高い強度で、歯を内側から支える
このような特性を活かすことで、当院の根管治療は90%以上の高い成功率を達成しています。