インプラント ①
こんにちは。
院長の長谷川です。
当院でメイン治療でもある、インプラント、歯周病に関してシリーズで分かりやすく
お話いたします。
第一回目の今回はインプラントの歴史とインプラントの構造についてです。
インプラントとは、医療器材を人の体に埋め込むことの総称です。心臓で言えばペースメーカー、人工関節や美容目的で入れるシリコンなどもインプラントの一種なのです。
歯科で使用されるインプラントは治療が普及してきたことにより歯科インプラントを「インプラント」と呼ぶことが一般的になりました。
インプラント治療は、ブリッジや入れ歯と比較して残っている周りの歯を削ったりすることがないので審美的・機能的にも優れている治療で、第2の天然歯とも呼ばれています。
*インプラントの歴史
歯科におけるインプラントの歴史はとても古く、文献によると古代ローマ帝国時代の人骨に鉄製のインプラントが埋め込まれているのが発見されています。
またマヤ文明時代20歳代女性の下顎骨に貝殻で作られたインプラントが埋め込まれているのが発見されています。 その周囲には歯石がついている事、周囲に骨造成がエックス線検査で確認でき、実際に機能していたことがわかっています。
インプラントが臨床に登場したのは1900年代。1913年にグリーンフィールドが円筒型のインプラントを開発。これが近代インプラントの祖と評されています。
1930年代にはスクリュー 型、1940年代にはらせん型のインプラントが考案されました。しかし予後は著しく悪かったようです。現代の確立されているインプラントの原型は、1952年にスウェーデンのルドン大学のペル・イングヴァール・ブローネマルク博士の研究チームによって、チタンが骨と結合すること(オッセオインテグレーション)が発見され、チタンがインプラントに応用されるようになった事です。その後の研究を経て1962年から人間に対してインプラント治療が始まりました。しかしブローネマルク教授が歯科医師ではなかった事などがあり、批判的な立場の歯科医師も多く普及には至りませんでした。
どの時代でも出る杭は打たれてしまうんですね。。。
1978年にインプラントに関する会議(学会)が、ハーバード大学とアメリカ国立衛生研究所の共催で開催されました。この会議はインプラントのデータ収集と分析の評価基準と標準が確立された象徴的な会議であったと評価されています。大きな ターニングポイントとなったのは1982年のトロント会議。そこで予後15年の症例が報告され、一大センセーショナルを巻き起こし、北米を中心に普及が始まりました。
15年は現在でも長期症例として考えられています。
自分も15年はひとつのポイントとして目指してるものです。
*インプラントの構造や種類は?
インプラントの形態は大きく2つのタイプに分けられ、歯根(=歯の根っこ)の形態に似た「ルートフォーム」と、板状の「ブレードタイプ」があり、「ルートフォーム」が現在の主流になり、現在に至っています。
ルートフォームは当初はシリンダータイプと呼ばれる滑らかな表面でしたが、ネジ状の形態の方が初期固定に有利とわかり、現在のインプラントにはネジ山(スレッド)がつくタイプになっています。
さらに骨との結合を早期かつ強固にするため、各メーカーが表面にHA(ハイドロキシアパタイト)をコーティングしたり、強酸で表面処理をした方が骨との結合がより強くなるという論文が発表されてから、より競い合ってます。
インプラントは主に3つの部品でできています。
1.歯を失ったあごの骨の部分に埋め込む人工歯根(フィクスチャー)
2.その上に取り付けられる土台(アバットメント)
3.歯の部分に相当する人工歯(上部構造)
この3つを組み合わせが図のように歯を失った場所を補うのがインプラントです。 あごの骨に埋め込むインプラント、アバットメントの素材ですが、多くのメーカーでチタンもしくはチタン合金という金属が採用されています。身体との親和性が高く、金属アレルギーが起こりにくいと言われています。
※参考文献:畑 好昭「今と昔のインプラント」、インプラントネット